骨折り損

おらおらでひとりいぐもの骨折り損のレビュー・感想・評価

おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)
3.8
とても、とても哲学的な命のお話。

人は何故生きているんだろうとか、自分にはどんな価値があるんだろうとか、考え出したら止まらない宇宙みたいな疑問を、誰だって一度や二度考えたことはあると思う。

そんな答えのない疑問に、とても優しく答えてくれるような作品だった。

命を全力で肯定してくれる。

この映画があれば、坂道でふと背中から倒れてみても誰かが支えてくれるだろうと思える。

生きているだけで素晴らしい奇跡。
そんな綺麗事を、嫌味のない等身大の目線で教えてくれる。不思議とそれを本気で信じてみたくなる。

現実と妄想を行き来する演出が、今敏やゴンドリー、カウフマンなどの作風を彷彿とさせ、個人的にはとても好みだった。

しかし、間の取り方が贅沢なのはいい事でもあるが、流石に悠長に感じてしまう瞬間も何度かあったのは惜しい。2時間半は少し長い。

あと、CGで魅せる作品じゃないにしろ、初期のPS2みたいなCGはだいぶ冷めてしまった。ポイントで入るだけの映像だからこそ、しっかりと作り込んで欲しかった。

不満はいくつかあるが、見終わった後、いい気持ちで命や人生についてポジティブに考えさせられたので、とてもいい映画だったと思う。
骨折り損

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