イクミナ

おらおらでひとりいぐものイクミナのレビュー・感想・評価

おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)
5.0
映画が始まり
田中裕子の、白髪の感じ、目鼻立ち、自分の母親に見えた。似ているのだ。何か自分の母親を見ているようだった。もっとも、母は、87歳で、背は曲がっていて踊りだしたりはしないけれど、そっくりなのに驚いた。
 幻想と現実が交差して物語が進行。それが実にうまくできている。最後、森の中に子供のころの自分が現れたり、お花畑があったり、死んだ旦那が出てきたり、天に召されるのかと思いきや、福豆で終わる。しゃれてるねぇ、沖田監督。最高傑作ですね。
と、投稿して次の朝、日課のラジオ体操の前の朝の散歩しながら、つらつら考えが廻った。「おらおらでひとりでいぐも」 逝ったのだ。山登りの時の幻の三人が手で押した表現もあったではないか?さりげなく大胆な演出、大胆なようでさりげない演出、うれしくなった。帰って、ネットで調べると、原作があったのか。芥川賞か。「おらおらでひとりでいぐも」は、あの「あめゆきとてちてけんじゃ」宮沢賢治『永訣の朝』の一節 「もう けふ おまへは わかれてしまふ(Ora Orade Shitori egumo)」のおらおらでひとりでいぐもだった。
 体露金風 拈華微笑 余韻がじんわりと残るいい映画だ。


   もう一度見よう。DVD化されたら母に見せよう。
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