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アトミック・ジャーニーのkiritoのレビュー・感想・評価

アトミック・ジャーニー(2019年製作の映画)
4.1
【キノコ雲】

構成・カット・描写全てにおいて完璧。傑作。長編で観たい。

1961年アルジェリア。
フランスの4度目の核実験において7人の兵士が調査に向かう。

劇中の兵士同士の会話は各映画それぞれだが、自分の中の統計上「彼女・妻」いわゆる「女」の話が群を抜いて多い。
本作もこの通り、最初は女自慢と抱いた感想はどうかという所謂下世話(しかし恐らく戦場でのリアルな)から始まる。

そして、あるカウントダウンによる沈黙。
嬉々として調査を進めていくメンバー達。
しかし、ガイガーカウンターは明らかに様子がおかしく、風向きも変わっていく。

そんな中一人の兵士のズボンに裂け目があることがわかり事態は急変していく。

冒頭の兵士同士の他愛もない会話から中盤以降はその比較として緊迫感がずっと続く。
そして黒いキノコ雲に向かって歩いていく際のカットはカメラを180度回転させる「ミッドサマー」でも利用されていたあの手法だ。

唯一の年配の隊長は危険を察知し、隊員達を助けそして…

最後の信号弾(立ち上がる煙)はキノコ雲と対になっていて(死と生の意味で)、そこに向かって歩き出すエンド。

放射能の危険さ。推して知るべし。

2020.4.23
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