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エイブのキッチンストーリーのsymaxのレビュー・感想・評価

3.6
イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つブルックリン生まれのエイブは12歳。

母方の家族も父方の家族もそれぞれ、エイブの事は可愛いのですが、いかんせん歴史的にも長い長い諍いが絶えない関係性を持つ国をルーツとしている家族ですから、会えば宗教や文化の違い、政治的な問題で争いが絶えません。

エイブは、そんな複雑なバックボーンもあり、自己のアイディンティを見出せず、家族の対立に悩み、心の拠り所は料理だけ…

そんな時、エイブは世界の様々な料理を組み合わせ、独自の"フュージョン料理"を作り出すブラジル人シェフのチコと出会い、チコのキッチンで働きながら、チコから料理のイロハを学ます。

そして、エイブは複雑なバックボーンを持つ自分だからこそ出来る"フュージョン料理"を作り出し、家族をひとつにしようとするのです…

そもそも、日本人には分かっているようで、今一つよく分からない、イスラエルとパレスチナ間の宗教と文化と政治の違いがベースとしてあるので、本作の根っこの部分が理解出来ないところはありますが、エイブにとってはどちらも大好きで大事な家族。

12歳とまだまだ子供のエイブが、今自分が出来る事を精一杯やって、何とか家族の対立を防ごうとする姿が健気でなりません。

そんなエイブの気持ちを知ってか知らずか、宗教や文化の違いに頑なにこだわり続け、結果的にエイブを傷つけてしまっている大人達。

イスラエルとパレスチナの根の深さを考えますと、対立するのは仕方がない事なのかもしれませんが、大人では越える事も越えようとも思わない事を"ひょい"と越えてしまうエイブの度量の大きさには感心しますし、余り宗教に執着心のない日本人である私は、良いとこ取りの何処が悪いの?と思ってしまいます。

でも、"ラーメン・タコス"は、いただけない…

料理を決定付ける味の要素として、"ウマミ"と日本語で表現されてて、日本食も世界レベルですなぁと思ったら、エンドクレジットにデカデカと"味の素"の名が…流石…
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