Nana

息子の面影のNanaのレビュー・感想・評価

息子の面影(2020年製作の映画)
4.0
出稼ぎのため友人と共にメキシコ国境に向かい、行方不明になった息子を探しにいく母の物語。

ほぼ無名のキャスト、スタッフで制作されたにも関わらず高い評価を受けていると聞き劇場へ。
荒涼としたメキシコの大地を背景に描かれる残酷な物語に、この国が抱える貧困問題の闇深さを痛感。人が失踪することは日常茶飯事のこととして描かれているし、純粋な青年が生きるために闇の世界に引き摺り込まれていく様は観ていて辛い。みんな命懸けで越境するから、そこに漬け込んだビジネスも組織として成り立っている。単純な富の分配では解決できない根深い問題だと痛感する。

広く広く広がる水面に浮かぶボートのシーンが印象的で、解決の糸口が見えず世界の中で孤独を深め、助けを求めるメキシコの人々の心情と重なり合っているようだった。
Nana

Nana