息子の面影の作品情報・感想・評価

「息子の面影」に投稿された感想・評価

どうして移民が増え続けているのか。中南米からの移民の群れが続々とメキシコを経由してUSへの入国を果たそうとしているが、そこに至るまでの道筋、その理由とは一体。。

こんなすごい事になっているのか。
到底同じ時代に生きているとは思えないというのが正直な感想。

中東もそうだが、つくづく世界は時間軸が壊れているんじゃないかと思う。古代と中世、また近代が緯度と経度をズラしただけでそれぞれの地域で同居している。野蛮はISだけじゃない。

この作品には剥き出しの暴力が転がっていた。登場人物は茂みから様子を伺い、息を潜め隙を見て走り抜ける。まるでゾンビ映画のような動きだが相手は素面の人間だ。

暴力はアメリカを強制退去され国に戻ってきた人たちへも向く。帰ってきた同胞に対する仕打ち。あいつはもう人間じゃない、だから何をやってもいいんだという報復感情なのか。とにかく容赦がない。

ゆっくりと歩きながらアメリカの入管を出ていく男の背中にカメラがはりついている。あの緊張感。ここを出たらもう地獄。襲われたバスの生存者の話もまるで戦争の生存者へのインタビューのような生々しさがあった。
無法地帯のリアルがドキュメンタリータッチであぶりだされていて、異様な緊張感が続く。

犯罪組織が若者を次々とリクルーティングしている実態も既に『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』なんかで描かれてはいた。彼らに選択肢は存在しない。あるとすれば死ぬか(誰かを)殺すかだけ。

劇中に出てきた悪魔の幻視も。いやあれは幻ではない。あれはたぶん実際にあそこにいるのだ。本当の「悪魔を見た」。

もはや、今更トランプ政権の移民政策を声高に批判したって何にもならない。絶望。無力感。完全にHPゼロの状態で劇場をあとにした。
MALPASO

MALPASOの感想・評価

3.4
東京国際映画祭
『息子の面影』
メキシコ

監督のフェルナンダ・バラデスは、脚本、プロデューサー、編集も担当。新たなメキシコの才能を感じる。

実際にメキシコ国境沿いに起きている悲劇を描く。
仕事を求めアメリカへ向かった息子の安否が分からず、必死に捜す母親。アメリカを強制退去になり故郷を目指す青年。息子の手がかりが明らかになるまでのサスペンスな展開。他人どうしの母親と息子が出会ってからの意外な展開。

風景の美しい撮影、フォーカスの使い方、構図なども素晴らしい。ポスターにもある炎の悪魔の描き方もいいアイデアだ。

ドラマでもドキュメンタリーでも観てきたが、メキシコのギャングたちはテロ同様の残忍さ、もう大規模に米軍が介入してどうにかするしかないのでは思う。そんなことを描いたのが「ボーダーライン」なんだけど。
alsace

alsaceの感想・評価

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サンダンスの観客賞受賞という触れ込みに興味を持って鑑賞。
ソクーロフのチェチェンへ アレクサンドラの旅みたいな話。
メキシコから米国への不法移民と何故彼らが移民という選択を取るのかというメキシコ側の事情がよく分かった。
Sachika

Sachikaの感想・評価

4.4
炎、悪魔、ここは地獄か?
光の使い方も自然も美しいのに、それが時折、かえってゾっとしてしまう程、メキシコの闇というのは暗く重い。

出稼ぎに出たまま消息の途絶えた 息子の安否を祈りながら、母親は息子の痕跡を追う。
一方で米国を強制退去させられた青年は、母の待つ故郷を目指す。
母親という立場の女性と、息子という立場の青年。
見知らぬ二人の旅が交差する中で、メキシコの残酷で非情な現状を知る。

悲しさや悍ましさを残すラストと、母親の表情が忘れられない。
余韻の中でタイトルの意味を噛みしめると、何とも言えない苦さが残る作品。

これは劇場で観たかったなあ。
TIFFJPで見逃していた為、ラテンビート映画祭で鑑賞。

先に見た『ビボス』もそうだけど、武装集団による襲撃、マフィアと麻薬、警察の隠ぺい、全てが想像していたメキシコのイメージとはかけ離れていて、怖いなとしみじみ。

余談だけど、メキシコの犯罪について調べていると、死者の日に触れている記事が多い印象。
死者の日=『リメンバーミー』の様な、祖先(死者)への愛を想像していたけど、メキシコの死生観からくる、死への歪んだ愛情が、残虐な事件や死体の処理方法を表しているかと思うと皮肉だなあ。
死体で遊ぶのと、死者と遊ぶじゃ意味合いが違うよって言いたい。。
レゴ

レゴの感想・評価

4.2
ラストもだけど、この状況がまず衝撃的で混乱。メキシコってこんな?ほんとにこんなことが??
辛すぎる、けど、美しすぎる。
辛すぎて重いけど、好きだった。
tsurukame

tsurukameの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

人間を簡単に飲み込みそうな自然のデカさと一般市民が簡単に飲み込まれてしまうメキシコの麻薬カルテル及び癒着する腐敗政府 お母さんはさいごに血のつながり以外の家族を選択したというのに 凄まじいラストだった 
ラテンビート映画祭で滑り込み鑑賞。
メキシコ(国境)の暗部を描いた作品。これだけ見たらメキシコってどんだけ危険なところなんだと思うが、ドキュメンタリー的なショットもありかなりリアルに描かれていた。
最初のショット。わずかに見える隙間から息子がカメラに向かってやってくるのが象徴的で、消息不明の息子が生きているかもしれないというわずかな希望がつながり(〜なら知ってるよ的な)話が進んでいく
水面に映った木を逆さまにして映したショットや「悪魔が殺した」と語る老人の回想でぼやける中見えるシルエットなど幻想的なシーンも多く、おそらく息子の名前や母の名前も示唆に富んでいるのだろう
ラストの展開はショッキングだが、それこそそうでもしないと…というメキシコの問題を正面から描いているのでは?
夜のシーンがとても大事な映画なので映画館で見たい
悪魔と死の象徴として提示され続けた炎。それが束の間、未来への希望を伴って息子を亡くした母から、母を亡くした子へと照らされる。しかしそれも虚しく、悪魔は容赦なく口笛に呼ばれて目の前に現れる。そうか、火を使うのは人間だけか…。
自然を美しいと感じるのも、もしかしたら人間だけなのかもしれないが、雄大な自然とは対照的に異常が通常となっている凄惨なメキシコの情勢が只々無力感を覚えさせた。
ドキュメンタリーも含めてメキシコの映画は見たことなかったと思うし、情勢も殆ど知らないに等しいから見られて良かった。
saysea

sayseaの感想・評価

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ラテンビート映画祭、オンライン有料配信駆け込みで鑑賞。
メキシコ国内、そして米国との国境付近を描いた作品は何本も観ているけれど、なんという世界…。
クソみたいな日本の政治状況ですが、まだまだ絶望していてはいかんなと自省
mmmcy

mmmcyの感想・評価

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配信で見たのはもったいなかった。

彼らの恐怖や不安とともに暗闇で時間を体験したい。メンタルが弱っていない時に。


レイガダスっぽさ。

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