【パッケ大好き】
良し悪しは別として、作風は鬼才で有名な父親の系譜を受け継いだブランドン監督の長編二作目。Filmarksでのジャンルはホラーとなっているがサスペンスやスリラー寄り。そしてみんな大好きR-18作品だ。
監督:ブランドン・クローネンバーグ
脚本:ブランドン・クローネンバーグ
あらすじ
他者の身体を乗っ取って殺人を遂行する工作員タシャ(アンドレア・ライズボロー)。いつものように滞りなく任務を完了させるはずだったが…。
あらすじだけ見ると映画好きならば既視感が襲う。しかし
「ザ・セル」かと思えば
わかりやすい内容は息を潜め、独創性溢れる美術なども無いに等しく
「インセプション」かと思えば
エンタメ要素は皆無、それどころか残酷なグロゴアや淫らな描写が顔を覗かせる
Possessorとは所有者の意
何をもって所有者と成し得るのか。
物語自体は複雑そうに見えて実は単調。なので物語を楽しみたい人には向かず、過激なシーンがあるにも関わらず退屈に感じる人もいるかも知れない。
この世界や設定に対する説明を省き、終始この“他者を乗っ取るシステム“と“所有者“だけにスポットを当てている。話としては薄い、では何が複雑で、何が難解なのか。
今作のテーマは“深層心理"
冒頭の異変、そこから広がる謎、恐怖、罪悪、快楽、悦楽、願望、葛藤、自意識、自我、混濁、混沌、露わになる深淵。
ファミコンと同程度しかない私の8ビットCPUが超高速回転した結果
わかるようで、わからないようで、わかりそうで、なんとなくわかった気になり、すげー深いような、そうでもないような、やっぱり深いようでそんな気がしなくもなく終わる。
一貫して不穏で息苦しく、不快で生々しい映像、タガが外れたゴア描写。
何よりも、危うさや不安定さが全身から滲み出てこの世界観に同化し溶け合った主演のアンドレア・ライズボローが素晴らしい。
この作品全体を覆い纏わりつくような気持ち悪さと華を添えるバイオレンス、それを体感するだけでも観る価値はある。
荒削りな部分は多いし、まだ独自性と独創性のバランスが定まってもいない。だが、それ以上に感じたのは先が見えない程の伸び代だ。
しかし、それは私も同じ事
目指せ16ビット