義民伝兵衛と蝉時雨

白い暴動の義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

白い暴動(2019年製作の映画)
2.8
The Clashとの出会いは高校1年の夏、カナダのバンクーバーのHMVで。店内を物色しているとタダならぬ雰囲気を醸し出すギラついたジャケットのCDを見つける。これは絶対に良い音楽だ!と直感が働きジャケ買い。レジの店員の緑髪にピアスとスタッズがイカすパンクスのねーちゃんに手渡すと「ファッキングッドチョイス!」と褒められた。これは間違えなく良い音楽をツモった!と期待が高まる。家に帰り聴いてみると一曲目のイントロの時点で「お前はすでに死んでいる」と言わんばかりに脳天をブチ抜かれた。ジョー・ストラマーが歌い出す頃には歓喜に満ち溢れていた。それが「White Riot(白い暴動)」との出会いだった。

この作品を観て当時のイギリスの人種差別の厳しさを知った。デイビッド・ボウイやエリック・クラプトンまでも白人史上主義者を支持し差別発言をしていたということを知りショックを受けた。白人史上主義という思想は排他的で本当に嫌な思想だ。そんな腐敗した政治に音楽で立ち向かった当時の若者達の姿が本当に格好良い。その中でもやはり最後のライブのThe Clashは凄い。他のバンドとは完全にオーラが違う。ジョー・ストラマーは本物のカリスマだ。欲を言えばもう何曲か見たかった。

しかし、この作品にドキュメンタリー作品としてのクオリティの高さを感じることは出来なかった。特徴が無く面白味に欠けた極普通の作風で、テレビ放送で十分なレベルのクオリティに感じた。そこが凄く残念だった。

The Clashの「White Riot(白い暴動)」は今でも時々聴く。全く飽きることがないアルバム。当時は感性やノリで聴いていたが、今聴くとそれに加えて歌詞と姿勢が本当に格好良い。あの時のツモは只のツモじゃなく役満だった。