Parry

白い暴動のParryのレビュー・感想・評価

白い暴動(2019年製作の映画)
3.3
Amazon primeレンタルにて。
70年代イギリス。移民排斥・白人至上主義を掲げ支持を伸ばす政党NF、ボウイ、クラプトンなどの音楽界の差別発言に反対した運動、ロック・アゲインスト・レイシズムRARの記録映画。白人の一般人が始めた運動が10万人の行進、フェス、NFの選挙での大敗まで導く。やはり差別主義者と属性が被る人が差別反対のアクションを起こすのは大事。
「白人も黒人と同じように暴動を起こしたい」と歌うこの映画の同名曲、白い暴動をリリースした当時大人気のバンドThe Clashに、「ファン層にレイシストがいるだろうがそんな人こそレイシズムに反対する事を伝えたい」とフェスの出演を依頼するエピソードが印象に残った。
当時のロックフェスのポスターやZineを意識した映像もクールで新鮮に映り、良いドキュメンタリーだった。黒人差別だけでなく、南アジア系に対する差別も当時バンドを組んでいた当事者にインタビューして記録している。
The ClashといえばM.I.AのPaper Planesのサンプリング元の曲、Straight to hell.アメラジアン(米兵とアジア人女性の間に生まれた子供たち)のブルースに加われよ、地獄に落ちろとレイシストの人物の目線の歌詞(メンバーの兄弟がNFのメンバーだったらしい)がスリランカ系イギリス人女性アーティストにより「この辺で私たちよりイケてる奴はいない/KGBより犯罪歴は多いし国境で鬼ごっこしてる/やりたいことはあんたの金を奪うだけ」と悪びれずに移民がハッスルする歌詞に変わり、サードカルチャーキッズのアンセムとして親しまれているのが印象的。その曲がPaper Planesが更にT.IとJay - Z,カニエ・ウエストによりアフリカンアメリカンの男性たちが一代で築き上げた財産をフレックスする曲Swagga like Usにサンプリングされた一連の経緯も、他者からの攻撃や蔑視すらも自分の特に変えてしまうヒップホップそのもの。
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