僕は母さんが好き。
それのどこがいけないの？
共依存する母と息子を描いた大森監督の問題作。
長澤まさみさんはどんどん新境地を確立してくるが、この自堕落で失格すぎる母親役も意外といける。
まぁ、リアルだとこのタイプの母親はもっともっともっと見た目がだらしないと思うけど、この手の母親が発する妙な色気？というのかいやらしさみたいなものはダダ漏れで、こんな風にしか生きていけなくなった秋子の生き様に妙に納得してしまう。
しかし、あくまでもこれは息子周平の物語。
彼が何故、悲惨な道のりを選んだのか？
乱暴な言葉を投げかけられ、ご飯もろくに食べれない中手を差し伸べる父や、あやの声を不意にして、あのラストに突っ走って行くのかはもう彼のような立場になってみないと分からない。
が、極限の状態で苦しみを共にした２人だけ、(特に幼かった周平にとっては、他の幸せを経験した事がないのだから)安心できるのは秋子の作る世界だけだったのだろう。
異常だけどそうなのだろう。
可愛そうだと涙を流して同情する事ができるのならまだ良いのにひたすら胸糞、救いもないから涙も出ない。
でも周平の瞳が最後まで濁らずに、澄んでいたことで、彼の魂はまだかろうじて汚されてないのだと思いたい。
