たく

MOTHER マザーのたくのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.8
世評が微妙でなかなか手が出なかったんだけど、これは良かった。最低最悪な毒親から逃れられない息子の話で、こんな酷い母親でも外界を一切知らずに育った子どもは親を信じるしかないっていうのを息子目線で描いててやり切れなかった。

途中で何度も世間からの救いの手が差し伸べられて、息子がこの毒親をいつ断ち切れるのかと観てる側が心でエールを送り続けるんだけど、カタルシスを与えてくれないまま観客を突き放してくるのが胸糞悪い。夏帆の登場シーンが泣けてしょうがなくて、でもこれが現実なんだよねっていうところに妙な納得感があった。

橋で親子3人が歩く遠近感のショットが詩情溢れて良い。
ネグレクトの話が「誰も知らない」「きみはいい子」を思わせて、ダメ女が次々と男とくっ付くのはスコセッシの「アリスの恋」を連想した。
長澤まさみが汚れ役を頑張ってて、いい女だけに男が寄ってくるのがリアルだった。阿部サダヲはこういうクズな脇役がハマるね。
たく

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