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MOTHER マザーのMountainDewのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.7
大森監督は大好きで今思えば片山監督の
作品群を好きになったのも大森監督の匂いに近いものがあったからかもしれない。
先進国とは名ばかりの生活水準の格差が
顕著な日本の陰りにメスを深く刺していく
姿勢が刺激なのである。
今作も処女作から続くお家芸的事実を元に
事件から読み取られる人間性や社会性を
浮き彫りにする手腕を最大限に生かされていたと思う。なぜ未成年の少年が祖父母夫婦を惨殺しなければならなかったのか。
少年の世界の狭さによるものなのか
キーになる母親のキャラからどんな環境下
で生きていたら人は追い込まれていくのか
歪な母と子の関係性にも焦点を当てながら
壮絶な貧困生活を描いていきます。
冒頭のプールのシーンからゾクゾクした
のでこりゃあ堪らんですわってなってたんですが徐々に失速気味に、、
母親役の長澤まさみは意外と役にあってて
魔性な女性と依存性のが高いのと独特の
歪な雰囲気を漂わせるのがうまかったので
今作で頭一つ抜き出たのかも。
阿部サダヲのクズ役が似合いすぎて
びっくりした。出演作をあんまり観たことがなかったので演技の振り幅にビックリした。
子役の奥平大兼くんの演技も上手で
それこそ片山監督の「さがす」に出てた
清水尋也君に雰囲気が似ててやっぱりこういう雰囲気の作品にはこういう顔あいまっせってなった。
話はひたすらに救いようがないし
あの事件へと当事者はどうあがいても
導かれてしまう悲しみなんかが
構成として近かったのが「ワンハリ」で
そこはなんか同じ電波拾ったのかな
類似点を感じて面白い。
救いを差し伸べても本人は必要とはしてないし必要もないんだなって思った。
その象徴として夏帆演じる亜矢で
彼女としてはほっとけなく家族を援助支援するが家族だけの空間が家族間で聖域のような近寄り辛さすら感じさせる空気感の旨さみたいなのも感じた。
全体的に暗くて救いようがないですが
この雰囲気は大森監督作品全体でも言えることですがなんかクセになります。
新作がノワールモノっぽくて期待してます
そんな映画。
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