Kumonohate

MOTHER マザーのKumonohateのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.8
「自分の子どもなんだからどう育てようと親の勝手」という言い分を前にしては、多くの救いの手はなすすべがない。それは、親による誤った影響や支配から子どもを救助すべきである一方で、子どもは親の元で養育されるべきであるという二律背反する要素が、親子関係には内在していからかもしれない。

そもそも、子どもを育てる“良き親”は常に誤っていないといえるのか。仮に言えるとして、どこからが誤った影響や支配なのか線引きができるのか。どこからが共依存なのか決めることが出来るのか。

そんなこと誰にもわからない。背反する二律の間に線引きなど出来ない。

だから、救いの手は、往々にして対処療法になってしまう。親から悪しき支配を受けていた。共依存だった。もっと早く親から引き離すべきだった。全部過去形。その上での対処。そこが児童福祉の解消しがたいジレンマかもしれない。つまり、この映画に描かれたような出来事は実際に楽勝で起こりうるのだと思う。

そんなジレンマを抉り出し、リアリティーを突きつけてくる作品。
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