それこそ子供がおらんかったら自殺をするか旦那を殺すかしてたんじゃないかしら、というくらいの危うい部分が主人公にはあるように、あたしには感じられましたけれども。
世間にゃ意外と好人物が多い、という視点、或いはもっと突っ込んだ見方をすれば、こんな殺伐とした世界のままで良い訳がないと感じている人が多い、という描かれ方が、ちょっと胸に迫りましたよね。
見返りも求めず他者に施しを与える人間なぞ居るか、と言ってたおっちゃんもさ、きっと息子さんを育てる中で世間の風当たりの強さを実感してたんだと思うんですよ、だからこそのあの態度だったと思うんですよ。
それこそ当初の主人公と同様に、どんな苦境でも他者に頼らず自分でなんとかするしかないという考え方に凝り固まっていたんだと思うんですよ。
でもやっぱ主人公に手を貸す訳じゃないですか、それこそ息子さんに促される形で。
或いは主人公が、付け焼刃でおぼろげな知識しかないままでホームセンターのサービス係を頼り邪険に扱われる場面、後列のおっちゃんがその不寛容を見咎めてものを言うじゃないですか。
そういう無条件に優しいだけじゃない視点と。
それから主人公の行動が周囲に与える影響の幾つか、その然り気ない描かれ方に。
諸々気付かされそして考えさせられる映画でしたよね。