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最高の花婿 アンコールのakrutmのレビュー・感想・評価

最高の花婿 アンコール(2018年製作の映画)
4.2
フランスにおける人種や宗教による差別をユーモラスに描き、フランスで大ヒットした前作『最高の花婿』の続編。まだ日本では公開前であるが、昨年に国際線で観賞したので、そのときを思い出してレビュー。

前作ではクロードとマリーのヴェルヌイユ夫妻が4人娘の夫たち(アラブ人、ユダヤ人、中国人、コートジボワール人って、なかなか強烈)が理想とする人種や宗教ではないことに悩むヴェルヌイユ夫妻が描かれていたが、その後の移民問題などのフランスの世相を反映した本作では、4人娘の夫たちが周りから受ける差別に嫌気が差し、国外に移住しようとすることに悩むヴェルヌイユ夫妻が、大芝居を打って娘夫婦(と孫たち)を引き留めようとする姿が描かれる。

当然ながら、初めて見るときのほうが受ける印象が強いので、続編が前作よりも評価が高くなることはなかなか難しい。個人的には、前作が最高に面白かっただけに、それに比べるとやはりインパクトは弱くなってしまう。それでも、前作での登場人物たちが全員勢揃いしているし、冒頭から、義理の息子たちの祖国を旅してフランスに戻ってきた夫婦が、やっぱりフランスが最高と言いながらチーズやフランスパンを頬張る姿に、自然と映画の中に引き込まれていく。夫婦と義理の息子たちや息子たちの間のユーモラスな掛け合い(もちろんクロードと四女の夫の父アンドレとの掛け合いも)が健在なのも嬉しい。さらに、妻マリーが引き取った難民の若者に対する反応や、四女の夫の妹が同性婚をしようとするというエピソードなど、前作が公開されて以降の社会問題・トピックなども散りばめられていて、目が離せない。4人娘を演じた女優さんたちがみんな綺麗なので、目の保養にもなる。個人的には、四女役のエロディー・フォンタン(パートナーはヒャッハーシリーズで有名なフィリップ・ラショー)が一押しだが、長女役のフレデリック・ベルも捨てがたい。

前作を観ていないと本作の良さがわからないので、これから本作を観ようとしている人は、その前にぜひ前作を観てほしい。

ちなみに、4人娘やその夫たちを演じた若い俳優たちは、前作のフランスでの大ヒットをきっかけに、いろいろと仕事が舞い込んできたそうである。それから、前作を観たときも感じたが、差別問題をこんな風に笑い飛ばせる映画ができるのは脚本も担当しているフィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督の能力によるところも大きいだろうが、こういう映画を好意的に受け入れるというフランスの国民性が個人的に大好きである。対して、米国人にはこの感覚が理解できないのか、差別を扱うならばシリアスに扱うべきとステレオタイプ的思考に染まっているのかは知らないが、米国(や英国)では前作に対する批判的なレビューが多かったそうである。