どうお金を稼ぎ、何にお金を払うのか、選択のすべての角度から人間の本質を暴き出している。アウトなサーカスを生業とするもの、それにお金を落とすものの加害性を端的にストレートに描き切った。
編集点のアイリスアウトの多用もクラシックな雰囲気を醸し出していて、ファンタジックな様相と相まって茶目っ気に溢れていた。本作も緑がかった青と柑橘色の色彩が唯一無二の画に仕上がっている。
サーカスパートと成り上がりパートの接続にスムーズさはないが、2つのパートともにまとまりはある。ラストの落語的なオチはリッチな作劇とプロダクションデザインとのギャップが効いている。ゾッとするというより、あえて可笑しげのある軽さが納得の帰着だ。