滝井椎野

ナイトメア・アリーの滝井椎野のレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.9
まさに因果応報。ノワール•ムービーというジャンルは得てして後味の悪い終わり方をするものであるが、本作も例に漏れず。
内容に関しては、古典ミステリーなんかでは割と既視感のある内容ではあるのだが、それでも面白かった。ファム・ファタルとして分かりやすく描かれている3人が、それぞれスタンの行く先を左右する要素として出てくる中で、スタンがその選択肢の中での悪手を重ねていき、こちらの予想通り悪夢の袋小路へと迷い込んでいく様は、哀れながらもあっぱれ。特に最後の締めくくりは見事だった。
本作中、一際存在感を放ちながらも特に触れられることもなく終わるのがホルマリン漬けの胎児。この存在が何とも落ち着かない。まるで人の手の及ばない不条理が介在しているかのような居心地の悪さは、本作を唯一無二の作品にしていると思う。
滝井椎野

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