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情婦のsensatismのレビュー・感想・評価

情婦(1957年製作の映画)
4.2
2020/155
キャラクターとそれを演じる俳優さんたちがかなり良かった 病み上がりのでっぷりとした老獪な弁護士を演じるチャールズ・ロートンと口うるさい(と周囲から思われてる)看護師役のエルザ・ランチェスターが織りなす前半のつつき合いは、緊迫した法廷ものへの易しい導入になっていた この2人は私生活では夫婦らしくて、両者とも1957年のアカデミー主演男優賞・助演女優賞にノミネートされている 特にぶっくり丸々とした醜いともチャーミングとも形容できる体型の持ち主であるウィルフレッド(チャールズ・ロートン)が鋭い眼光を光らせたり鬼気迫る怒声をあげたりしているのは見ものだった 神経質そうにメガネをつけたり外したり、薬の配置を並べ替えて遊んでいる様子はひと癖あって可笑しいのに、法廷で重い体を持ち上げて腹の底から吠えるように反論するウィルフレッドには本当に感心させられた 映画を観ている人もその場にいる傍聴者同様に気圧されてしまう凄みがあったな 彼だけでなく法廷に立って証言をする人たちにも目を離せなくて、マレーネ・ディートリヒ演じるクリスチーネがとても良かった 最初の諮問におけるクリスチーナにはやはり強固な意思みたいなものを口ぶりから感じさせられたし、2回目の諮問で氷のような瞳から涙が溢れるのを見て「泣いてる…!」と思ったな 完璧に’演じて’いたと思う 
アカデミー賞の審査員に'どっちも'演じた事実を信じてもらえず嘘つき扱いされたからノミネートさえもし損ねたらしいよ 俳優としてはむしろ名誉なのだろうか?
法廷の熾烈なかけあいから暴かれる激動の真実はおもしろい
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