このレビューはネタバレを含みます
冒頭から哀しかった。
けれども温かくて引きこまれる。
徐々に時間と記憶が前後に入り乱れる様がどんどん強くなる
本人はいたって正気
その正気さは本人の視点で観ると頷ける。
どこも狂っていないのに
周りはまともに取りあわず、
きちんと耳を傾けてはくれない。
その傾聴には辛抱と苛立ち、
老人への憐れみと慈悲。
痴呆の度合いが徐々に強くなっていく様や
被害妄想と突然のヒステリー。
至って正気のつもりなのに
記憶や時間が不確かになる様と
そこからくる本人の不安が
ありありと感じ取れて苦しかった。
けれども、
痴呆になっていく人の
視点で物事を捉えることができて
身近な人に
その時が来たら
優しく寄り添えるんじゃないだろうか。
来てほしくないけれど。
アンソニーに大丈夫だよと
寄り添いたくなる