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ファーザーのronのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
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今まで認知症の方が出てくる映画を観たことはあっても認知症の方の視点で世界を見たことはなかったから、そのひとつのかたちを映像に落とし込んでるのマジすごいなと思ったし、だからこそ観てる間中アンソニーとアンどっちつかずの気持ちで居ることができた(じゃないとシンプルにアンにめちゃめちゃ肩入れしてしまったと思う…)。整理された記憶が自分のなかで積み重なってある程度論理的に物事を考えられること、それを前提に世界は回ってることに気付かされた…。認知症の方の描写は言わずもがな、そのケアをする家族の亀裂も描いていたのが誠実だなと思った。

あと、老後のケアと尊厳の問題ももっと学びたいなあと思った、アンソニーが時折発作のように呟く「俺を馬鹿だと思うな!(意訳)」という言葉は多かれ少なかれ誰もが通る道なのかもと感じたから…(彼が一家を支えてきた白人男性であることはその思いを強化したかもだけど)。今読んでる『脳科学者の母が認知症になる』という本のなかで認知症の方にとっては主体性を持って行動することはものすごく価値のあることだからそれをサポートしているという旨のことが書いてあって、その人の尊厳と傷つけないこととその人のニーズを満たすことって両立させることもできるんだなあと感じた、うう、もっと学びます…。
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