骨折り損

泣きたい私は猫をかぶるの骨折り損のレビュー・感想・評価

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
3.4
タイトルがめっちゃ良い!

えっそこ?って言われてもやっぱり言いたい。タイトルが好きだ。

もうこのタイトルに惹かれて見たと言っても過言ではない。ただ、肝心の見終わった感想は、ノリがキツいなーと思いました。

「ひのでの煮っころがし、しょっぱーい!」で、結構無理だなとアレルギー反応が出てしまった。それ以前にも、ひのでエロいエロい連呼するのとか普通にセクハラだし、うーんとは思っていたけどこの台詞でダメだと思ってしまった。

あと、片親であることで当たり前のように虐められてかわいそうみたいな設定は、いかにもガラパゴスジャパンでしか通じない設定なので、これも世界相手のNetflix公開作としてふさわしいか疑問に感じた。

2秒で説明する為だけの記号的な背景なんて、ない方がマシだと思う。

片親は確かにしんどいこともあるけれど、主人公の辛い過去を表現するのにそれだけでは説明不足に感じた。もっとこの人にしかない痛みみたいなのを丁寧に考えて欲しかった。

猫だと好きな人と一緒にいられるけど、人間だと上手く気持ちを伝えられない。分かりやすくジレンマが生まれるいいファンタジー設定だ。でも、この主役の二人よりも個人的には、きなこに一番グッときた。皮肉にも、脇役であるきなこが一番、猫と人間の対比として上手く存在していたから。
猫のままだと大好きな飼い主とずっと一緒にいられないけど、人間になると飼い主は私を探して悲しむ。

いや、こっちの方が面白いやんけ。
きなこのスピンオフの方が見たいと思いました。結局、学生の恋愛ありきで猫の設定を後付けした感じが強いから、この設定じゃないといけない理由が弱い。
その点、きなこの話はこの設定でこそ輝く物語がある。

全体的に絵も綺麗で、見やすく楽しめる作品だったけれど、要所要所の見せ場を、ベタに寄せているのが全て裏目に出ていた印象。せっかく面白い設定があるのだから、全部『君の名は』に寄せなくても、オリジナリティ溢れるカットをもっと見たかった!

きなこ!!
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