チャップリンが「チャップリン」の皮を脱ぐってとっておきの切り札をここぞのタイミング&作品で切れるチャップリンはやっぱりプロ意識凄い 殺人狂時代もチャップリン脱ぎかけではあったけどさすがに髭ゼロになるといよいよ素顔のおじさんすぎてそれだけでドギマギするし切ない しかもそれでかつては栄華を極めた下火のコメディアン役なんて、いよいよすぎる
お金も仕事もない持たざる者としてのチャップリンがたまたま通りがかっただけの自殺未遂した若い女を無償に気遣うその優しさ(またはその逆転としての優しさ)がずっと物語の中心にあって、チャップリンは最後までずっと同じものを信じてる その一方で、道化を演じること、観衆の笑いがモチベーションになったかつてと笑わない観衆への恐怖心、それでもステージを離れて生きていくことができない役者としての業、などなど自己言及的なテーマがずっと続きしかもそれを素顔のチャップリンが語るので仮面としての「チャップリン」を消費してきた一観衆としてこころに刺さる台詞がいっぱいあった(うろ覚えだけど、「離れることはできないでしょう あなたは観衆を愛しすぎたはずよ」「個人としてはもちろんそうさ だけど集団としての彼らは頭のないモンスターのようだ」 「わたしは血が苦手だがわたしの全身の血管に血は流れてる そういうことだ」etc.)
それにしてもノミの曲芸ショー、これで行けんの!?ていう微妙さで面白かった ザンパノの胸筋で鎖千切る芸くらい「それで行けんの!?」てなる あと最後のステージ、キートンのショー楽しみ!て思ってたらキートンのショーぜんぜんなくてびっくりした テリーの踊りで終わるのはお上品でいい チャップリンは終わり方がいつもお上品でいい