えくそしす島

レリック ー遺物ーのえくそしす島のレビュー・感想・評価

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)
3.3
レリックとは現在にまで残る昔の物、失われた過去の物のうち現在にまで残存する一部

即ち【遺物】

「ヴィジット」や「テイキング・オブ・デボラ・ローガン」と同じように「老い」や「認知症」を題材にしたホラー映画。
だが、わかりやすいそれらとは違い、じめーっとして、やや難解、かつ抽象的な作品となっている。
その為、エンタメホラーやハッキリわかる怖さを求める人には合わないし、後半の展開には「思ってたのと違う」となる可能性も多分にある。

監督は日系女性のナタリー・エリカ・ジェームズ。今作が長編デビューの新鋭だ。

あらすじ
夫を亡くし、80代で一人暮らしのエドナ(ロビン・ネヴィン)。その娘のケイ(エミリー・モーティマー)はある日、エドナの姿を何日も見ていないという隣人の一報を受けて、娘のサム(ベラ・ヒースコート)と共に母親の家を探すが、中には彼女の姿はなかった。警察と共に周囲をも探したが一向にエドナは見つからなかった。だが、ある日突然帰ってくる…

祖母エドナ、母のケイ、孫娘のサムという3世代の女性の物語

「イット・フォローズ」がAIDSを具現化したホラー(監督は否定しているがわかりやすいので)なら今作は「老い」を具現化したホラーと言ってもいい。

映画全体に漂う雰囲気や所々の描写は「ソング オブ ホラー」というスペインのホラーゲームにも似ている。

好き嫌いが分かれる作品だし、万人受けはまずしない。しかし、考察すればするほど面白さが滲み出てくる。

今作の「怖さの質」は老いと同じだ
静かに少しずつだが確実に蓄積する

老いとは全ての人類が煩う呪いのようなものなのだろう。

ジャンプスケア(大きな効果音と衝撃的な場面を同時に映し出して驚かす演出)やセリフで説明する作品はあまり好みではないので、この映画の様な作風は好きだ。だが、声を大にして言いたい。

もっとゾクゾクゾワゾワするものが観たいですっ!!!!