けんくり

レリック ー遺物ーのけんくりのレビュー・感想・評価

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)
4.5
認知症患者とその家族、それぞれから見た恐怖をホラーとして描いた映画。

「認知症映画」の名作といえば「ファーザー」だが、あちらからドラマ要素を薄くして、「恐怖」にフォーカスしたアプローチ。

描いているテーマとしては、両作ともかなり近しいと思う。認知症の苦しみと救済。でもこっちの方が非常にシビアというか…。

畳み掛けるようなホラー描写を通じて、もう認知症患者は自分の親だろうが、「別人」だと思わないといけない、と言っている。

その別人を愛し続けられるかどうか。親と子の二世代の問題ではない。孫の代まで三世代で向き合っていかなければならない。

認知症の祖母に対して、現実的な選択肢をとろうとするのが「子」で、孫は理想を語り、親を非難する。でも結局最後まで見捨てられないのが、「子」なんだよな。その辺の描き方もすごくリアル。

自分にも無関係ではない、という点で、本当に恐ろしくも胸が痛い映画だった。だって「入り口」は誰にでも存在するのだから。