ツクヨミ

逃げた女のツクヨミのレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
4.0
撮影技法をうまく活用して描く女性の日常会話劇。
ガミは夫の出張を機に田舎に住む先輩の元を訪れる。彼女は食事と会話を楽しみつつまた次の日には別の友人と再会していく…
韓国発ある女性の旅を日常劇として展開させたお話。今作は"ズームインとズームアウト"そして"スライド"といった撮影技法をわかりやすく多用していて、映画技法の単純なワークショップ作品として楽しませてもらいました。話の主軸を女性たちの交流と会話というあまり動かぬ画面として、ズームやスライドを活用し多用する面白さが前衛的。そして話が切り替わる時は山の風景を映してまた次の山の風景に飛ぶという転換も面白い。
また映像として人間がいない画面でズームして猫を画面中央にしてずっと映したり、監視カメラ映像にズームして覗いてみたり映像としての面白さが本作の持ち味かなと感じました。
ラストはストーリーとしてよくわからないが、ガミが見ていた映画画面が同じ映画なのに最初はモノクロでラストは色が付いていたのは、彼女の内面の変化なのかな?とも受けとめられる。考えていきたい場面ではありました。
全体を通して映像技法としてのシンプルな面白さが前衛的に前に出ていた面白い作品でした。
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