ハレルヤ

ベルリン・アレクサンダープラッツのハレルヤのレビュー・感想・評価

3.6
アフリカから難民としてドイツへと流れ着いた青年のフランシス。真っ当に生きたいと願うものの、麻薬の売人ラインホルトと知り合った事で彼の犯罪に手を染めてしまう物語。

1人の難民である青年の過酷な運命を描いた本作。3時間に及ぶ長編。5部に分けて展開されるストーリー。かなりの見応えでした。ただやっぱり見終わった後はちょっと疲れましたが…。

本心では善人として普通の生活を送りたいと思うフランシス。しかし難民である立場は高い壁として立ちはだかり、仕事や住む場所でも苦難を強いられる。そんな難民の厳しい現状を前半だけでも克明に捉えています。

そんな最中に同じ職場で出会ったのがラインホルト。こいつがかなりの曲者。パッと見て悪者オーラはそれほど出ていませんが、関わる人を次々と不幸な目に陥れるジョーカー的な存在。後半になればなるほど、悪人らしさはエスカレート。こいつのせいでフランシスもかなり悲痛な目に遭います。

色んな映画で色んな悪人を見てきましたが、このラインホルトのような悪人らしさが時間とともに強大に増していく人物は稀。なのでなかなか忘れられない存在になりましたね。

負のスパイラルから抜け出したくても抜け出せない。そんな生き地獄のような3時間。ラストもバッドエンドかと思いきや、わずかに希望が持てる締め方はかなり印象的でした。

本作は元々同じ原作で1980年にTV映画シリーズ「ベルリン・アレクサンダー広場」として既に一度映画化されています。それは全部で15時間にも及ぶ大長編。それを考えると本作は3時間とはいえかなり絞ったんだなぁと思わされましたね。
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