コミヤ

二重のまち/交代地のうたを編むのコミヤのレビュー・感想・評価

4.4
1回目に寝てしまったので2回観た。
ワークショップを通じて、非被災者の4人の男女が被災者の話を聞き、自分たちの中に記憶として被災者たちの痕跡を引き継ごうとする。しかし、「他者は完全に理解することはできない」という誠実で謙虚な前提に立った上で、被災者の痕跡を引き継ぐという重荷を背負った4人は被災者の痕跡の実態を掴み"あぐねる"(パンフの濱口竜介のこの表現が的確過ぎる)。人間の脳には限界があるため、その他者の痕跡は取捨選択され、記憶からこぼれ落ちるもの、次第に忘れさられるものもある。聞き手から語り部として自身の言葉を通じてカメラに語りかける際に、その限界を自覚した上で、こぼれそうになる記憶の断片を丁寧に汲み上げて、慎重に他者の痕跡を伝えようとする4人の姿勢はあまりに誠実で、自分の人に対する態度はなんて不誠実なんだろうと責めたくなった。まずは誠実な聞き手でありたい。
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