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君は永遠にそいつらより若いのbluetokyoのレビュー・感想・評価

4.0
原作の本のタイトルは前から知っていたが、勝手に、新入社員が暴れ回るテレビドラマみたいなチャラい内容なんだろうと思っていた。実際、見ると、深いテーマで驚いた。なるほど、という感じ。さっそく、帰りに原作を買って読んでみたが、むしろ、映画の方が整理整頓されていてよかった。
主人公は、児童福祉士という仕事が決まった四年生。たぶんこの時点では、仕事内容は判らず就職が決まってラッキー、あとは遊んでいようかな、と軽く考えていたのだろう。ひょんなことから、イノギさんという一年後輩の女子と知り合い急に仲良しになる。時を同じくして、同級生の住むアパートの下の階で虐待にあっている子供がいて気に掛かっていたりする。後半になって、イノギさんがなぜ主人公を受け入れたのか判明する。イノギさんは中学生のときレイプされて重傷を負っていた。河原で倒れていたとき助けてくれた人が主人公とよく似ていたのだ。それを知った主人公は、地元に帰る間際に、虐待を受けている子供の部屋にベランダから窓を破って侵入し子どもに会いに行く。
「君」は、虐待されている子供やレイプされた女子、「そいつら」は虐待したりレイプしたりする大人のこと。主人公が児童福祉士という仕事に目覚めるという話だ。伏線を回収したあとは、えええええ、となる。
原作は処女作で、いま、同じテーマで書いたら、もっと、違う作品になったかもしれない。とりあえず、他の登場人物もいて、ごちゃごちゃしていて判りにくい。最初のタイトルは「マンイーター」、人食いという意味で、加害者の大人のことだと思う。でも、これだとダイレクト過ぎるのだろう。「君は永遠にそいつらより若い」の方がずっといい。この言葉は、イノギさんが、主人公に、虐待されている子に声を掛けてあげるとしたらなんて言うの? と聞いたとき、主人公が考えあぐねた末に答えた台詞だ。
映画では、主人公とイノギさんの二人に絞っていて、とてもわかりやすい。どっかでリバイバル上映があれば、また見たいと思う。
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