凜太郎

君は永遠にそいつらより若いの凜太郎のレビュー・感想・評価

3.5
タイトルからなんとなく察しましたが、うーん、重めの映画です…
他人に傷を隠す人たち。そしてそれに気づいてあげられなくて傷つく人。
隣人が隠し持つ「心の傷」に対して私たちはどうしていけばいいのか?

主人公のホリガイは、自分は他者の痛みを感じるのに鈍感な人間であると思い、自己肯定感のない大学生です。
そんな彼女は同じ大学に通うイノギに出会います。
イノギは耳にある縫い傷を長い髪の毛で隠し、その傷には他人には打ち明けられない凄惨な過去があります。
ホリガイはそうした傷を持つ人たちを憂い、自分はその傷に気づけなかったと苦しみます。

しかし他人を思いやれることこそが、人間として優れているのではないでしょうか?
ホリガイを見ていて思い出したのは、太宰治のこんな言葉です。

「『優』という字は『優れる』と読む。
 また、『優しい』とも読む。
 そしてこの字をよく見ると『人』を『憂う』と書いてある。
 『人を憂う』こと。
 これこそ人間として一番『優れて』いることではないか」

「君は永遠にそいつらより若い」
ホリガイのこの言葉には、傷を負いながらも救われなかった人たちへの祈りが込められているような気がしました。
凜太郎

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