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涙の塩のmrhsのレビュー・感想・評価

涙の塩(2020年製作の映画)
3.5
シネスコでモノクロ。その審美的な画面を寸断するような説明的なナレーションと音楽。全体の尺は短く、いかにもフランス的な(自由)恋愛について語られる。そしてフィルム撮影。

ガレルは一体いつまでこのスタイルで作品を撮り続けるんだろう?良くも悪くもガレルほど作家性の確立/確定した監督は皆無というべきか。

ナレーションがそれまでとは役割を微妙に変えるクライマックスとその少し前に入る主人公の父親の唐突なアップなど要所要所で演出が締まってる感じは確かにするし、有色人種がこれほど存在感を示すガレルの映画は珍しい気がした。

ただ賞賛されているダンスシーンは"ダンスシーンの為のダンスシーン"というか、あんな風にクラブで踊ってる奴、見たことない(苦笑)。なんというか、ガレルが映画学校で先生をやっているということが良くも悪くも透けて見える演出がキマり過ぎたシークエンス。

ちなみに俺がガレルの作品を苦笑しつつも大体追ってしまうのは、その反動性(この作品で主人公の父親はそんなことを自覚的に口にする)に自分を重ねてしまうからなのだが、果たしてガレルのファンはその反動性を全面的に肯定出来るのだろうか。

あと少なくない数の女性ファンがガレルにはいると思うのだが、まるでスクリューボールコメディ(!)のように妊娠を扱うところなど怒りの対象にすらなると思うのだが…
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