てんさん

セイント・フランシスのてんさんのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
3.8
「良い人」や「優しい人」とひと言目に形容される人たちに本当の意味で良い人は少ない。たいてい「気が弱くて言い出せない人」か「他人に興味がない人」だと思う。これは持論。「聖人」って表現だって、日常的に使われる場合は大抵これと似たようなもん。

フランシスはわがまま。気分屋。いじっぱり。自分の両親の問題も、ブリジットのことも、どこまで理解してたのかだってわからない。決して悪い子ではない。でも、良い子では絶対にない。

『セイント・フランシス』なんて言うから、もっと最後は良い子になるのかと思った。ブリジットに懐いたから騒がなくなっただけで、たぶん本質は最初とそんなに変わってない。

「聖人」の意味は、「知識にすぐれ、人徳がある世の中の模範といわれるような人」のことだと調べたら出てきた。
でもあんなにわがままな子がセイント・フランシスらしい。

ただ不思議とフランシスから教わることはたくさんあるような気がする。
教会でフランシスに許されたら、なんだか少し救われたような気がする。
フランシスのおかげかどうかわからないけれど、家族やブリジットの周りの人間関係は良くなったし。

わがままで気分屋の中に少しの気遣いが見えるだけで可愛く無垢に見えるのは、フランシスが子供だからかもしれない。でもそうじゃないと思いたい。
もしかしたらこれが本当に聖人の本質なのかもって自分は信じたい。

そうあって欲しいから、そういうことにしておこうと思う。
てんさん

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