RYUYA

DAU. 退行のRYUYAのレビュー・感想・評価

DAU. 退行(2020年製作の映画)
4.0
全然面白くなかった。けどなんか、圧倒的な時間だった。6時間走るより、この映画を観たほうが痩せると思う。食欲は失せ、性欲は萎み、睡眠欲は卒業旅行に行きました。劇中で「国が国なら拷問行為で裁かれますよ!」みたいな台詞があったけど、「こんな拷問映画に出演してるお前が言うなや!」と思った。

ソビエトの秘密研究所に暮らす科学者のジジイたちと、交換学生、職員の女たちが、よく分からん考察や思想的な会話を交わし続け、夜は酒を飲んで馬鹿騒ぎ。食堂の労働者たちは飲んだくれてタバコをふかし、裸になって口説き合う。無能な所長は権力を振りかざし、秘書に強姦。そんな堕落した施設の住人たちを、『DAU ナターシャ』にも登場したアジッポ(スパイダーバースの悪役・スコーピオンの実写版か!ってくらいの鬼の肩幅野郎)が非情なやり方で追い詰めてゆく...。話はまぁこんな感じ。

映画の5時間目くらいまでは「ひたすらな堕落の繰り返し」という狂気ね。それはジェームスブラウンの曲みたいなループというか...たまに「ハッ!」とか言って変化つけてくるというか。それは大体、暴力やセックスなんだけど。でもまぁ最後の1時間くらいは本当にヤバかった。完全に、越えちゃいけない一線を越えていた。いかれてるよマジで。映画のためか何なのか知らないが、あの「殺し」は、正直見るに堪えないし、許せなかった。が、ラストカットを観た瞬間、そういう俺の怒り以上の巨大な何かを突きつけられた気がして、呆然としてしまった。クソおっかない映画。

セクハラ所長が◯◯◯されるシーンの呆気なさがツボだった。
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