このレビューはネタバレを含みます
主役のナウエルの瞳がとても印象的。
監督のインタビューで語られていた「言語と心の結びつき」がとても興味深い。ドイツ語話者の「親衛隊大尉のコッホ」が、ペルシャ語(偽)を話す中で「クラウス・コッホ」として、他の人間には見せなかった一面を見せるようになる。ジルにとっては常に命を脅かされてるわけで、二人だけがわかる言葉で語り合うのに、結局最後まで二人が真実心から分かり合うことはないという皮肉…。この綱渡り感が非常にスリリングで目が離せなかった。
コッホが「美しい響き」と語った時、ジルは何を思ったのか。少なくとも2840人が"名もなき人々"ではなくなったことは確か。