マリリン

GUNDA/グンダのマリリンのレビュー・感想・評価

GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)
4.0
【色と言葉と人間を排除した未踏の世界】
現在、私たちの周りには映像が溢れている。テレビや映画などに代表される従来の映像媒体に加え、スマホや電車内のデジタルサイネージ、コロナ禍におけるzoomでの会議や授業も映像と言えるだろう。それらの映像には、色彩豊かに、雄弁に語る人間がたくさん映し出されている。
モノクロで、セリフもナレーションもなく、ただただ家畜の営みを示す『グンダ』を見て衝撃を受けたのは、いかに自分が日頃からどっぷりと情報過多な映像文化に浸っているのか、ということだった。
色と言葉と人間を排除した映像は、私の脳を刺激しまくった。母豚のグンダとその子豚たちの親子関係を想像し、そこに物語を見出そうとする自分にふと気づき、なんて愚かなことをしているんだろうと思った。目の前にある映像を、カメラが捉えたグンダと子豚たちの姿を受け止めることしか私にはできないのに。
映画を見ること、体験することを改めて実感させてくれる貴重な作品だった。
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