herohero

砕け散るところを見せてあげるのheroheroのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

清澄と玻璃が惹かれ合う様子や、周囲の人物が丁寧に描かれていて飽きさせない。
それと堤真一の怪演が光る。
ただし、クライマックスにおける清澄の行動がとても不自然だ。
傷を負った玻璃からあのような話を聞いたら、ほぼ100%の人間は躊躇せずに警察へ連絡するだろう。
ましてや友人からゴムボートまで借りてあのような行動など絶対にしない。
玻璃を想う気持ちが強ければ尚更だ。
まずは警察へ連絡し彼女の身を守るのが当然であり、あの行動にはデメリットしかないのだ。
多分、玻璃の母親の行方を衝撃的に見せる為の構成なのだろうが、それなら他の見せ方だってあったはずだ。
例えば、玻璃の身を心配した清澄が、もう一度玻璃の家へ行き、閉じ込められてた玻璃を助け出す。そこへ父が戻って来て、動けなくした二人を前に、母親の事を面倒くさそうに話したっていいし、他にも考えればいくらでも効果的な手法はあるだろう。
その労力を惜しんで、あり得ない行動をとらせては、それまで良い感じに積み上げてきた物語が台無しになってしまう。
とは言え、総合的には一定の満足感は得られる作品なので、つくづくその点だけが惜しまれるのだ。
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