ゆうゆ

リトル・ガールのゆうゆのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
4.6

多くの苦い経験をし やるせない思いを
たくさん味わってきたのだろう、
言いたいことはたくさん詰まってるのに
まだ自分の言葉では上手く表現できないし
自ら何かアクションを起こせる歳ではない、
だけど映し出される彼女の横顔には
自身の置かれた状況を客観的に見つめ
その不条理さを受け入れているような
疲労を帯び どこか諦めにも似た
大人びた憂いが宿っている

それでも 自分が"女の子だ" という認識には
1mmのブレもなくて、
その澄んだ目から 母を気遣い零れ落ちる涙
小さな佇まいが
どうしようもなく切ない

LGBTは広く認識されつつあるけど
それが身近な問題となった時
実際に具体的な取り組みを となると
その受容と承認には幾重にも折り重なった
世間の厳しさを思い知る。
他の兄弟たちに配慮しながらも
全力で自分を護り戦ってくれるママの姿は
サシャにとってどれだけ心強いことだろう。
だからこそ あの小さな体にたくさん詰め込み
閉じ込めてきた母への気遣いも
胸に刺さります

彼女の人生はまだ始まったばかり。
これから精神的にも身体的にも
大きな壁が次々と立ちはだかって
くるだろうけれど サシャには
彼女を全力で受けとめ支えてくれる
家族の大きな愛がある。
サシャが あの夫婦の元を選び産まれて
きたのには 大きな理由があるのだと思う

たくさんの愛と理解を支えに
自分をまっすぐ見つめ強く生きてほしい、
余計な悩みに振り回されることなく
日常を穏やかに、
どうかときめきに満ちた人生を
存分に謳歌してほしい…
そう 願わずにはいられない

ワンピースに袖を通した時の
嬉しそうな微笑み、
ゴールドで煌めくサンダルを履いて
しなやかに踊る彼女は
とても可愛らしくて
ほんとに素敵な女の子でした


ドキュメンタリー作品ですが そう感じさせない
美しい映像と繊細な画力、
フレームを介して映し出される家族の描写は
優しい光に満ち溢れていて 作中のすべてが
まるで彼女のオリジナルの物語のようでした

専門医とのカウンセリングが当事者にとって
どれだけ精神的な拠り所となるのか、
社会は全てが冷たい訳ではなく 彼らを理解し
生きる道のりに大きなヒントを与えてくれる
機関も存在することを知り
必要な時には積極的に助けを求める勇気も
大切だと気づかされます

フランスっぽい色づかいやファッション、
あれが日常なんて ほんと素敵すぎる✧︎
ママもとてもお洒落さん
ゆうゆ

ゆうゆ