Ken

望みのKenのネタバレレビュー・内容・結末

望み(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

いやー、面白かった!
ストーリーは王道と言えば王道なんだけど、なんせキャストの演技が本当に素晴らしくて、それだけでかなり引き込まれた。脚本はもちろん大事だけど、やっぱりキャストを実力派で揃えるだけで、かなり面白い映画になるなって改めて思えた作品。

石川家の家が好き過ぎる。将来あんな家に住みたいな。特にリビングの机がおしゃれで最高。アイランドキッチンも素晴らしい。きっとこの映画を観た主婦の中で、アイランドキッチンやっぱり良いなって思った人は少なからずいるはず笑

冒頭で、お父さんが規士いろいろ軽く説教するシーン観てて「あーこうやってあまり相手の事理解しようともせずに、分かったかのような口調で自分の考えを押し付けるのは、グレてる息子を正すには良くないよなー」って思って観てたら、まさかのちゃんと息子に響いててびっくりした。多分言われた時は、腹立って部屋に戻っちゃったけど、後々思い返してみて納得したんだろうな。お父さんに言われた事をちゃんと受け止めて、そこから行動に移した規士は素晴らしいと思うし、出来た息子。

お父さんの同僚の人、規士がナイフ持ち出したの観てたなら、「いや、言えよ!」って感じたわ笑
何故言わない?!笑 俺がお父さんの立場なら詰め寄ってしまいそう笑 映画観ながら突っ込みそうになったわ笑

マスコミが悪く描かれてたけど、あれは別に実際よりも過剰な演出になんてしてないと思う多分。むしろもっと酷くてもおかしくないと思う。あくまで俺の想像だけど。もちろんあの人達も仕事をしてるだけなんだけどさ、普通の心を持ってる人が見ると、やっぱりあまりにも非人道的に過ぎる。加害者であろうが被害者であろうが、辛い想いをしてる人達に寄って集るのはどう考えてもおかしい。この仕事はどうしても無くならないのは分かるんだけど、どうにならないものかってやっぱり考えてしまう。昔からあることではあるんだけど、最近特に問題になってるマスゴミ問題を表現したのは良かったと思う。

あの記者の内藤ってやつも嫌だったなー最初。しかも、ラストでさりげなく好感度上げられそうなシーンあったけど、「加害者なら思う存分取材出来た」って台詞も、よくよく考えるとやっぱり嫌だなって目が覚めた笑。被害者と加害者の遺族になんの差があるのか分からないし、その判断をする内藤は何様?って思ってしまった。まぁ、彼も結局は仕事だし、彼なりに自分の信念は曲げなかったんだと思うけど。

母(貴代美)とその母(扶美子)のシーンはやばかった。娘と家族の為に作ってきた手料理のシーンの安心感と包容力が半端ない。後、扶美子から貴代美にした「覚悟を決める」話も素晴らしかった。何があっても子供の味方でいなさいという素晴らしい話。貴代美としてはお母さんが来てくれて相当心の支えになっただろうな。涙が無しでは観れないシーン。

とにかく加害者で無いことを望む父。とにかく生きていることを望む母。2人とも規士に生きてて欲しいと言う気持ちが同じでも、望む物が全く違う。実際にその立場になってみないと分からないけど、今の時点ではお母さんと同じで、とにかく生きててくれる事を望むかな俺は。もちろん、同じぐらい加害者では無いことも望みたいけど。妹も、受験シーズンというシビアな時期に、学校や周りからお兄ちゃんの事でいろいろ言われて、大変だっただろうな。自分の気持ちに整理が付かず困惑する姿は観てて辛かった。

やっぱりそういうラストだったかー。悲しい。皮肉にも、無くなってしまった規士が、家族を救ったってのがまた悲しい。葬式のシーンは観てて、いろいろ思い出して凄く凄く辛かった。当たり前だけど、葬式はやっぱり良いもんじゃない。。いろんなことから目を背けたくなってしまう。

堤真一、ゆりちゃん2人とも本当に素晴らしい演技だった。多分今作が初共演?な気もするけど、そんな事微塵も感じないくらいの夫婦感が出せてて凄かった。2人とも凄く良い表情だった。

岡田くん、やっぱりいいね。これから益々楽しみの役者。中学生日記を見て、これは今後ブレイクしそうだなって思ってたから、こんな大作に出演出来てて嬉しい。岡田くんは、元から持ってる独特の雰囲気があって好きだな。これからもそれを無くさずに、俳優としてどんどん活躍していって欲しい。

清原さん、「宇宙でいちばんあかるい屋根」に引き続き良かった。今回は繊細な年頃の女の子を見事に演じきってた。今後が本当に楽しみな女優。

熱中出来る良い映画だった。
Ken

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