トッシー

ドント・ルック・アップのトッシーのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
3.8
迫り来る破滅!

一致団結して対抗する
人類のスペクタクル!

………ではなく

恐怖と諦感の中の
微かな希望としての
愛とヒューマニズム

………でもなく

人間なんてバカだし、小さいし
自分勝手だし、欲望まみれで
本当にしょうもない!

………を描き出す
ブラックコメディ映画でした。

好きなヤツやった。



肥大した資本主義の危うさとか
諸々の環境問題とか
社会や人々の分断とか…

現実世界とも、
モロにリンクする
皮肉と嘲笑は
ダイレクトすぎて
もはや、笑うしかないだろ…

…って領域で、ある意味ホラー。

わりと現実も
この映画みたいに
なるような気がするし

もう既に、なってんじゃねえの?
…って感じも若干するので
笑ってる場合じゃ
ないのかもしれませんが

色々考え出すと
怖くなるので

とりあえず
笑っておきました。



…でもねえ
ヒューマニズムを
描いてないとは言ったものの

やっぱり終盤、
レオナルド・ディカプリオ演じる
ランドール博士周りで
ヒューマニズムを
若干ぶっ込んでくるのよね。

あれ、やめてほしかったなあ…

この映画のノリと流れで
あれをやられると
もはや、どうにも抗えない
リアル終末感が滲み出て
最後の最後に笑えなくなる。

リアルに僕らもこうするしか…
こうなるしかありませんがな…
どうしようもありませんがな…

…みたいな切ない気持ちになる。

だから個人的には
レオナルド・ディカプリオも
ジェニファー・ローレンスも
ティモシー・シャラメも

豪華キャスト全員
どいつもこいつも

どーしよーもなくて
ろくでもなくて
しょーもないまま
映画、終わって欲しかったよね。

そんな完全無欠の
どうしようもなさが観たかった。

つまりは序盤からの
展開の対比によって
世知辛い終末の可能性を
より現実味を帯びさせて描くのが
この映画と監督の狙いなのだな…

そう言うメッセージ的な
問題提起のあれ…なのだな…

…とか少し真面目な
心持ちで観ていたら

その後、
メリル・ストリープ大統領が
最高にろくでもない事に
なりやがったので、
やっぱりしょーもなくて
嬉しかったです。

とどのつまりは
人間なんて
しょーもねーし
ろくでもねーわ!!!

もう、どうしようもねえ!

2022-30
トッシー

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