トッシー

バービーのトッシーのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.9
フェミニズムがテーマの映画、
…だと思って観たら
全然そんな事はなかった。

何だったらフェミニズムを
結構バカにしているし、

男性社会とかマチズモにも
ケンカ売ってるし

シンプルに女らしさ、男らしさ
…みたいなものにも唾を吐き

そんなもの関係なく
自分らしく生きる!…的な、

「もう、これが正解でええやん!」
…ってところさえ
滑稽で、まだまだ無力なもの、
…として描く…。

何と言うか、全方位に
毒を吐きまくってぶん殴る
キラキラ ピンクなおバカ映画でした。



…そのくせ、
トドメまでは刺さないんですよね。

ボコボコに殴ってんだけど
誰も何も殺さない……って言うか…

バカにしてぶん殴るんだけど
殺さず生かしてちょっと寄り添う…

そんな絶妙に微妙なニュアンス。


だから、
エンターテイメントとしては
とってもスッキリしない…
もう、最後までカオス…

しかし、そのカオスさこそが
非常に現代的であるし、
ある意味で、今は正解なのかもしれんな…
…とか思ってしまったのですよね。

何より、鑑賞後、色々考えたり、
誰かと語りあいたくなるしね…

ただし、
パッと見はメチャクチャ能天気な
おバカコメディー、…なんだから
さらにカオスはましましなのですよ。

もう、混沌の使者みたいな映画。

だから、
こんなスッキリしないカオス映画が
全世界でメガヒットした事が
これまた、興味深い事実ですよね…
(日本では色々ありましたが…)

プロデューサーも努めた
マーゴット・ロビー、

監督のグレタ・カーヴィグ、

バービー人形を販売しているマテル社、

その他の色んな関係者たちが
やっぱり冴えてたんだろうなあ…



…もしかしたら
現代を象徴する傑作かもしれないし
そうじゃないかもしれないけれど

何年かしたら
ちょっと見え方、
変わってくるんじゃないか?
…とも思うので

未鑑賞の方はとりあえず、
今、このタイミングで
1回観ておくのが
良いのではないかなあ…

…とそんな気もする『バービー』!
…なのでした。



…ただ、鬱バービーの件は
ギャグとしても
ちょっと不快だった。

その後、別シーンで
心の弱さをも肯定するような
台詞があったと思うから
そこも生かさず殺さず
だったのかもしれんけど…

病気になる事は本当に辛いことだし
誰でもなる可能性はある。
デリケートな問題なので
(単に日本語訳の問題
…だったのかもしれないが)

そこはあんまり
ふざけていじらん方が良いと思います。

2023-60
トッシー

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