ウエンチ25号

空白のウエンチ25号のレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.3
モンスタたちーが松坂桃李を追い込む映画だと予告編を見て覚悟しながら初日朝イチみた。

怒れるモンスター、古田新太。
正義モンスター、寺島しのぶ。
はっきり自分の考えを打ち出せず、二人に追い詰められる、松坂桃李。
三人はそのまま画面でそういう人に見えた。リアルだ。
演技というより、映画の中で実在していた。すごい役者たちだ。

こんなことはきっと誰にでも起こる。大切なものをなくしたとき、人は受容しがたい。ぽっかり空いた空白に溢れるのが、怒り、悲しみ、苦しさ、後悔、いろいろ渦巻いてる。
表面に出てくるのは人によって違う。そして、なんとかその空白な蓋をして、一歩を踏み出す。そこへ向かうのにも時間はかかるし、踏み出せない人もいる。
ちょっとした人の言葉や行動が傷ついた人の心に灯りをともす。冷えきった心を溶かしてくれる。

悲惨な事件の顛末は悲しすぎる。が、意外にも、最後に見える光、トンネルの先の光が見えて、心が明るくなった。人はきっと空白を抱えながらも、再生できるんだと。
ウエンチ25号

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