予告編を観た瞬間から映画ファンとしてのアンテナがビビっと震え、今年最大の問題作と気合を入れて観始めたが、その意気込みを裏切るように、そっと肩の力を抜かせてくれるような結末がしんみりとくる。素直に感動した。
一人の少女の交通事故死をきっかけに、それぞれのキャラが如何に人生の苦しみに「折り合い」をつけてゆくのか。
苛立ちと罵声でしか自分を表現できないダメな父親役を古田新太が好演しているが、誰が被害者で誰が加害者なのか、何が正しくて何が間違っているのか、そんな湧き上がる疑問符の連鎖が観客の感情を激しく揺さぶる。
一概に見出せないこの難しいテーマや答えを決して誰かの台詞に乗せて語らせない脚本が秀逸であり、これこそがテレビドラマでも演劇でもない映画ならではの表現なのだろう。
【空白】とはなんなのか?自分なりに回答は浮かんだが、それは観た人それぞれで思えばいい。