スーパーで万引きをした女子中学生を店長が追いかけたことで女子中学生が事故死してしまう。
粗暴な遺族の父は、娘に非は何一つないと、スーパー店長を厳しく非難するのに対し、謝罪はするが万引きは事実だと対立する。
以下ネタバレ気味
やがて、意図的な報道や、社会からの誹謗中傷、近い人物からの干渉でただただ疲弊していく両者の間で、時間が過ぎると共に、奇妙な結びつきが生まれていくお話。
▼吉田監督は、絶対に交わることがない人物同士に、奇妙な絆が生まれる瞬間を描くことが多い
▼年頃の女子中学生が万引きをしたのか、していないのか、化粧品に興味があったか、なかったか、といった、「なぜ」の部分の意外性が乏しい…
・それでも何とか観客の関心を引くため、女子学生の異常性を醸し出すために、自分の写真の顔を塗りつぶすといった演出を入れているのでは
▼事故を、一撃ではなく、二撃にしたのがすごい
・絵的な衝撃度や、痛ましさが強調されるのはもちろん、事故の当事者が増えるため、シナリオに厚みが出る
・一撃目の運転手のほうが圧倒的に罪が軽く見えるのに、二撃目のトラック運転手は、ほぼ登場せず、前者の運転手が自殺まで追いやられてしまうというどんでん返しも起こしている。
・その運転手と、その母親の演技がとても素晴らしい。
・この出来事が父親の暴走に歯止めがかかるきっかけにもなるので、かなり慎重にキャスティングしたのではないかと思う
▼スーパー店長を支えようとするおばちゃんのキャラクターの気味の悪さがものすごい
・表面的には善いことをやっているが、その動機が実は相手のためではなくて、自分を満たすためで、めちゃくちゃタチが悪い
・そういう人に付きまとわれた側は、一見親切してくれてるように見えるから断れないし強く言えない。ただただ、疲弊する。
・父親から無限に責められ続けながら、押しつけ親切に潰されそうになる店長の悲哀がものすごい。
・そしてそのおばちゃんの本質を1発で見抜く暴走父親。そこの勘だけはするどいのかよ。
