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青くて痛くて脆いのhassyのレビュー・感想・評価

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)
3.7
青臭くて
傷付けて傷付いて痛くて
簡単に折れたり曲がったりするほど脆い

そんな印象を得ました。

いろんなレビューを見ましたが、個人的には一方的なものではなく、田端も秋好もどちらも青くて痛くて脆いなって。

傷付くのが嫌で蓋をしていた恋愛感情による嫉妬
から、取り残された・引き止めてもらえなかった孤独感。明るく楽しくしているやつらへの劣等感。どんどん自分の知る秋好から離れていく嫌悪感。なりたかった自分は秋好の隣にいても恥ずかしくないような自分だったはずなのに…。

と、一方的な気もするけど、容易く他者へ「気持ちが悪い」と言える秋好は、やはりあの頃の秋好とは変わってしまったんだろうなって。戦争を本当に望まず、平和を望む人間は、そんなに容易く人を傷付けられない。「なりたい自分になるためには、方法や手段が必要」そう言っている秋吉は、「戦争をなくすのは理想論です」と言っていた教授と同じだと感じた。なぜなら、なりたい自分達になるために、人間は争いをやめられないのだから。結局、秋好が最初に掲げていた壮大な野望も青臭かったのかなって。でも、その想いをきちんと体現していこうとしていたのがmoaiとして表現されているのかなと。
田端を追いかけなかった秋好の描写から、「死んだ」と表現する感じがなんか好きだったな。

この世界には正義しか存在しない。なぜなら、こちらが悪だと思う側も自分達の正義のために動いているのだから。立場や条件によって、正義は最も簡単に変わってしまう。だから、戦争がなくならない。
最初の講義で、秋好が質問したときに、自分としての答えがそんな風に浮かんだ。
今思えば、この映画の核となる部分でもあるのかなとか思ったり。

長くなったが、ラストが少し腑に落ちなかった。
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