文芸映画風なんだけど、ちょいエロシーンも加味しつつ、社会批判も混ぜたりもして、最終的にイヤァな感じの残尿感が残る、イタリア艶映画らしい作品です。
映画の出来自体で言えば、☆3を付けたいですし、出てくる女優もキュートなのでボーナスも付けたい所ですが、物語の好みで☆1。
パッケージのあらすじが信用ならないのは"お約束"なので、メモ書きしておきます。
ファシスト政権時代のイタリア。地方の地主一族を舞台とした、粗野で粗暴で男根主義的な父親と、彼の支配する家から抜け出したいと悶々としている引きこもりの主人公、彼らを取り巻く女性たち(母、伯母、妹、従姉妹、女中)の物語。
封建的な父権主義やマッチョリズムへの批判だとか、実は影で支配しているのは女というイタリア映画っぽい題材ですが、その実は、イタリア駄目んず頂上決戦!ってな内容です。
男は戦争か仕事か狩りか女遊びだよな!女は支配すべし!という家父長制度の権現である打倒対象の父親ですが、その実は、財産権を主人公の伯母に握られており、その弱さを周りの女性や息子に当たり散らしている駄目男。
息子の事を「あいつは病気だ!」といって理解しないのも、教養が無いから。悲しい。
一方の息子は、マッチョリズムに乗れない陰キャラの代表。
一見、父親と違い、戦争や狩りや慰安婦と遊ぶ事を毛嫌いする、思慮深いナイーブな青年のふりをしていますが、基本的には駄目男。
勉強について行けず大学を中退して、父親とぶつかっては部屋に閉じこもり、総てを父親を言い訳にし、母や伯母のおっぱいを吸って(比喩じゃないよ)生きているボンクラ。しかも自分より弱い存在の女中とか小動物には、悪さをするのね。最低。
「父親を殺す!」とか、「家出する!」とか言っていてもポーズに過ぎないので、毎回失敗。家出も500mも出来ない。いざ、そのチャンスが訪れて、お膳立てまでされても躊躇するありさま。ネタバレになるので言いませんが、ここ一番って時に何もしないので、「え?本当に何もしないの!?マジですか!!?」って目を二人にされるのは見所です。
唯一まともなのが従姉妹の女の子なんですが、こんな糞みたいな家族と関わらず、ミラノで自立した女性として生きていって欲しい!って思います。
こんなに心を動かされるのだから、良い映画なんだろうな。☆1だけど。