2人の男にフォーカスを当てたドキュメンタリー。一人は女川出身、東京でバイクショップを営む全身刺青のガラの悪い男で、「もう来なくていいって言われるまでボランティアを続けたい」と語る。もう一人は津波で行方不明になった奥さんを探すためにダイバーとなったバス運転手で、海底に眠る遺留品を持ち主や遺族に送り届けている。こちらはアンダーソン・ライトの短編ドキュメンタリー "The Diver" でも取り上げられており、奥さんへの愛と喪失がとても切ない。 2019年の制作で、復興支援や不明者捜索が徐々に縮小・終了しつつある中でのドキュメンタリーで、東日本大震災が当事者にとってはまだ全く終わってはいないことを思い出させる。震災のドキュメンタリーを見ていると、制作年が新しいほど、「行方不明者」の数が減り、「死者」に組み入れられていることが目につく。長い時間をかけて少しずつ犠牲者たちが見つかっていることが伝わり、この数字の変化にも胸を打たれる。