とり

サイコ・ゴアマンのとりのレビュー・感想・評価

サイコ・ゴアマン(2020年製作の映画)
4.8
あらすじを読むだけでわくわくが凄かったのに、本編自体も映画愛・怪獣愛にあふれた素晴らしい低予算映画でした。
かなり舐めてかかって観はじめる→アレ?なんか案外出来がいいぞ?→こりゃすげえわ!!!→とてつもない拾い物B級に出会えた幸福感のうちに終劇。

全てがいいんですよ。脚本、構成、特殊メイク、俳優、演出、ユーモアセンス。
何カットか不自然だったけど、もはや重箱の隅をつつくレベル。カメラワークも手堅い中にセンスが光る。隅々まで行き届いていてどこまでも工夫が凝らされている。作風はラフだけど、ものすごく丁寧に作り込まれてると思います。これぞ映画愛。情熱さえあればいい映画は作れる!

なんと言っても素晴らしいのは主人公の少女。恐ろしいほどの怪演。これが天才子役というやつか!
気持ちいいほどの悪魔少女っぷりで小気味よくてスカッとします。この少女がイカれてるほどサイコ・ゴアマンの滑稽さが際立つ素晴らしい演出。会話のたびにきちんとPGって呼ぶ几帳面さもおかしい。

エイリアンもたくさん登場。適度なB級感を醸し出す手作り着ぐるみたち。一体一体個性があってモンスター映画愛に満ち満ちている。日本の怪獣映画へのリスペクトでしょうか、日本語を駆使するエイリアンまでいる始末。しかも発音めっちゃ綺麗。
ラストのミミとの別れのPGのシーンの画面作り、これがもう神がかり。夕闇が迫る空間や空の絶妙なカラーバランス。

エンドロールの短さが全てを物語ってますね。映画を愛する少数精鋭で工夫を凝らして作りこんだ、これぞ娯楽映画!
個人的に劇場でお金を払って観ても大満足だったと思います。
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