ワイカ

ベスト・オブ・メン〜人間の最高〜のワイカのレビュー・感想・評価

3.8
 すごーい良かった!東京五輪・パラリンピックが実現するか微妙なこの時期に(実現したらもっと)、幅広い人に見てほしい作品です。

 第二次世界大戦中に、戦場で負傷して半身不随になった若い英国人兵士たちを再起させるため、パラリンピックの基礎となる障害者スポーツ大会を発案したドイツ人医師グッドマンの実話ベースの物語。2012年のロンドン五輪・パラリンピックに合わせてBBCで放映されたドラマだそうです。

 この映画の存在を知るまで、パラリンピックが英国の病院発祥だとは知りませんでした。第二次大戦の負傷兵のリハビリのために生まれた大会で、さらに英国に亡命したユダヤ系ドイツ人医師が発案したことも当然知らず、画面に釘付けになるくらい興味深く観ることができました。当時、半身不随の患者は寝かせておいて苦痛を和らげるだけだった治療のありをグッドマン医師が変革したという点にも感銘を受けました。

 「戦争」「障害者」という重くなりがちなテーマにもかかわらず、全体的に明るく軽妙でテンポが良いのも好感です。一方、ずさんだった当時の病院や、負傷兵の苦悩など、きれいごと以外のところも描かれていたのも良かったです。グッドマン医師の情熱にも胸を打たれ、ずっと涙腺緩みっぱなしでした。

 残念なのは、途中途中の大事な転換点がきちんと描かれてなかったこと。負傷兵がベッドから起き上がって車椅子に乗れるようになったり、最初は反発してた看護婦や職員、患者たちが理解を示した場面をしっかり描いてくれたら、もっと感動できたはず。ラストもせめて国内大会までやってほしかった。

 とはいえ、パラリンピックの意義を広めるためのドラマとしては、十分すぎるほどの良い内容でした。音楽や、マイナーな役者さんたちも良かった。

 どうでも良い話ですが、ロンドンの地下鉄に主演のエディ・マーサンにそっくりな人と隣に乗り合わせたことがあるんですが、本人だったかなぁ。
ワイカ

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