77年にもなってコミューン幻想を抱くアメリカ帰りのヒッピーかぶれ田中健。三枝子と若林豪が住むスクエア世界とフンワリドリームにうつつを抜かす健との狭間で揺れる多岐川裕美はビル壁に気球の絵を描く壁画家である。フワフワした二人、ナイーブが過ぎる。しつこいくらい頬に光る涙の跡。多岐川さんの嗚咽にはこだわりをも感じる。敗北しかないのはわかりきってはいるが、最後にヨットから空に放たれるせめてもの風船の束がどうにもこじんまりとしていてまた寂しい。謎の音楽プロデューサーくずれ桑原野人は登場から胡散臭すぎて気が散ります。そしてガンジャパーティーであんな歌聞かされたくない。