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三億円をつかまえろの一のレビュー・感想・評価

三億円をつかまえろ(1975年製作の映画)
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三億円事件にあやかったケイパー映画。金庫破りのシーンにじっくり時間を費やす菊島隆三先生の固い脚本を卑しくゆさぶるのは、宿直の警備員・三木のり平とガードマン財津一郎である。押し入れから取り出したダッチワイフとイチャつくのり平、ナチかぶれの一郎、確かな仕事ぶりに感服。なぜ『子連れ狼』をオマージュした作劇なのかはよくわからないが、ここでは食い逃げよりも強盗よりも、子と親を引き離すことが最もアンモラルな行為なのである。有島一郎と逃げた妻・伊佐山ひろ子の謎カップリングに勝手に物語を読み込むのも楽しい。
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