あまりに前評判が悪くて怖いもの見たさ的に観たんだけど、なかなか良かった。
原作は100日後に死ぬことが分かってるからこそ平凡な日常が愛おしくなるっていう毎日投稿のアイデア勝ちで、リアルタイムの一回限りの体験だったのに対し、その熱が冷め切った頃に映画化するというめちゃくちゃ高いハードルを良くやったなと思う。前半と後半で世界線を変えてくる上田慎一郎監督の作家性もちゃんと盛り込んでて、限られた条件下でやり切った感じ。
アニメ化したことで一番印象的なのが少ないセリフを補うキャラの視線の動きで、背中を見せるショットと対比されてた。紙芝居って言われるのは原作のタッチを尊重したんだと思う。
後半のカエルも評判悪いみたいだけど、これは前半の誰にも好かれるワニとあえて対比的なキャラとして描かれてたね。このウザさがワニの喪失に囚われた皆の立ち直りの契機になってて、物語性の弱い原作を普遍的な話として再構築するための必然性を感じた。
